闘鶏楽は「とうけいらく」と読みます。
最近では「闘鶏楽」が一般的になっていますが、古い書物には「斗鶏楽」「鳥毛」「鳥芸」という表記もあります。
地域によっては「かんかこ」「けいとうらく」(鶏闘楽?)と呼ぶところもありますが、
どこの神社でも、鉦を打ち鳴らして祭り行列に供奉する。また、鳳凰や鶏など鳥文様の衣装を身にまとう点で共通しています。
昨年の桜山八幡宮大祭では多くの神社が渡御を行い、いろいろな神社の闘鶏楽が奉納されました。
ちょうど映像がアップされているので見比べてみてください。
護國神社として供奉した富士神社闘鶏楽
(この時は全員が歴代の鉦大将=リーダーというメンバーで奉仕頂きました)
同じく富士神社(同じ神社でも大人と子供でイメージも変わります)
が、これだけ埋め込みができないので直リンクしてみてください。
大八賀神社
日枝神社
飛騨天満宮
祭りのお囃子として、笛や太鼓に合わせて鉦を打つということは全国的に見られることなのですが、
鉦だけが独立しさまざまな曲目や振付が付けられて、ひとつの神事芸能にまで発展している点では珍しい伝統芸能だと言えると思います。
闘鶏楽の発祥は詳しいことは分かっていませんが、平家の落人が伝えたとも、鎌倉時代初期に荒城郷(現飛騨市)を所領した多好方(おおのよしかた)が伝えたとも言われています。
―鶴岡八幡宮創立の際に源頼朝に召された雅楽を家業とする公家、多好方は秘曲を伝授した褒美として飛騨國荒城郷の地頭職に任ぜられました―
現在も多家は宮内庁楽部の楽師として宮中にお仕えし、また上記の縁から飛騨市の雅楽会に直接ご指導をされています。
では、どうして鉦と鶏がつながるのでしょう?
鉦を打つ音「かんかこ」が鶏の鳴き声「コケコケ」に似ているから闘鶏楽と言うんだろう。
私は長い間そう思っていました。
天照大神さまが岩戸隠れをされた時に、夜明けを告げる鳥として鶏を岩戸の前で鳴かせています。
伊勢神宮では式年遷宮の御遷座祭出御の時に「カケコーカケコーカケコー」と声をかける「鶏鳴三声」という有名な行事が行われます。
神道で「鶏の声」というのは重要な意味を持つのです。
でもそれでは、全国に存在する鉦の芸能がすべて鶏に関連付けられてもいいはず・・・
鉦と鶏がつながるのはどうも飛騨の闘鶏楽だけのようです。
しかし、よくよく調べていくと・・・・
本来、鳥毛(とりげ)というのはこういうものです。 ↓
竿の先に取り付けて、大名行列などの先頭を行きました。
現在も神社の祭礼に用いているところが多くあります。
熊本県神道青年会のサイトには「
鳥毛行列」の写真が掲載されています。
下は土佐の秋葉神社祭礼の動画で、見事な大技が披露されています。
ところがこの鳥毛、漢字一文字で書くと(パソコンではこの字が出なくてもうしわけないですが)「敞」の下に「毛」と書いて、なんと「しょう」と読むんです。当然、かねの「鉦」も「しょう」と読みます。
するとおもしろいことに
鉦の楽→「敞の下に毛」の楽→鳥毛の楽
→とりげーがく→とーけーがく→闘鶏楽→とーけーらく
見事に音便化して連想ゲームがつながると同時に、闘鶏楽を鳥芸とも言う理由までもが説明できるというわけです。
闘鶏楽に「大鳥毛」「小鳥毛」という曲目があるのも納得がいくのではないでしょうか?
ちなみに上の鳥毛の写真は「大鳥毛」。下の写真が「小鳥毛」というものです。
大きいか小さいかというだけですが、伝統芸能では重い大鳥毛で大技が出されています。
あまり研究がされていない闘鶏楽についての一考察をしてみました。
鉦の音=鶏の声という説も捨てがたいのですが、みなさんはどう思われますか??
ありがとうございます。
「ショウ」の字がでましたのでご参考まで。
「氅」